ネットで靴を買うとき、最後まで迷うのがサイズです。
普段は27cmだから今回も27cm。
そう思って注文したのに、
「少しきつい」
「かかとが余る」
「同じメーカーなのに前の靴とサイズ感が違う」
という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
服なら多少サイズが違っても着られることがありますが、靴は数ミリの違いでも履き心地がかなり変わります。
だからこそ、靴はネット通販との相性が難しい商品の一つです。
そんな靴選びをAIで変えようとしているのが「Perfitt(パーフィット)」です。
Perfittは、スマートフォンで足を計測し、その人の足のデータと実際の靴の内寸データをAIで照合して、おすすめサイズを提案するサービスです。
2026年9月18日から日本国内での販売が始まり、シューズブランドやEC事業者、小売店などへの導入受付がスタートしました。
「スマホで足を撮るだけなら、普通の足サイズ測定アプリと同じでは?」
と思うかもしれません。
しかしPerfittが特徴的なのは、測っているのが足だけではないことです。
Perfittとは?
Perfittは韓国のPerfitt社が開発しているAIフィッティングサービスです。
簡単にいうと、
自分の足のデータ
と
購入したい靴の中のデータ
をAIで照合し、その商品ではどのサイズが合いやすいかを提案します。
日本ではアルテ株式会社が展開パートナーとなり、2026年9月18日からシューズブランド、EC事業者、小売店、イベント事業者などを対象に導入受付を始めました。
ここで一つ注意しておきたいことがあります。
2026年9月時点でPerfittは、
「日本の一般ユーザーがアプリストアからダウンロードして、どの靴にでも使えるアプリ」ではありません。
ECサイトや店舗などにPerfittが導入され、そのサービスを利用する形です。
そのため、今すぐAmazonや楽天にあるすべての靴をPerfittで計測できるわけではありません。
今後、日本のシューズブランドやECサイトへの導入がどこまで広がるかがポイントになります。
なぜ靴は「27cm」だけでは選べないのか
Perfittの仕組みを理解するうえで、かなり分かりやすいデータがあります。
Perfittは独自のシューズ内寸測定機「Perfitt M1」を使い、靴の内側を実際に計測します。
日本展開の発表では、27cmと表記された10モデルを測定したところ、内寸長が、
27.365cm~28.031cm
まで異なっていたと説明されています。
同じ27cmなのに、内側では6mm以上の差がある計算です。
これなら、
「いつも27cmだから27cmを買ったのに合わない」
ということが起きても不思議ではありません。
しかも靴は長さだけで決まりません。
幅
足の形
つま先の形
靴の素材
硬さ
内部構造
などによってもフィット感は変わります。
Perfittはメーカーが記載したサイズ表だけではなく、こうした靴側の情報も使ってサイズを提案します。
ここが単純な「足の長さを測るアプリ」と大きく違うところです。
Perfittはどうやっておすすめサイズを決める?
仕組みをかなりシンプルにすると、
足を測る
↓
靴の内側を測る
↓
足と靴のデータをAIで照合
↓
おすすめサイズを表示
という流れです。
Perfitt側の発表では、110万件以上の足データ、250万件以上のサイズ推奨データを蓄積しているとされています。
さらに、靴についても内寸だけではなく、素材や硬さ、構造、着用テスト、公開レビューなどを組み合わせてサイズ提案に利用しています。
つまり、
「足の長さが26.5cmだから27cm」
という単純な計算ではありません。
「この人の足なら、この靴のこのサイズが合いやすい」
というところまで踏み込もうとしているわけです。
スマホで足を撮影するだけで測れる
ECサイト向けのサービスが「Perfitt Size」です。
商品ページなどにPerfittを組み込み、ユーザーがスマートフォンから足を測定します。
日本向けの発表では、
A4用紙を使う「詳細測定」
と、
用紙を使わない「クイック測定」
の2方式に対応するとされています。
測定後は、その商品について、
「この靴は少し小さめ」
といったサイズ傾向や、その人に合うおすすめサイズが表示されます。
海外向けのPerfitt公式サイトでも、スマートフォンによる足計測と靴の内寸データを組み合わせておすすめサイズを提示する仕組みが説明されています。
ネット通販で毎回サイズ表を見ながら、
「26.5cmかな」
「でもレビューでは小さめって書いてあるな」
「念のため27cmにするか」
と悩んでいた部分を、データで補助してくれるわけです。
店舗でもPerfittを使える
Perfittはネット通販だけを対象にしたサービスではありません。
店舗やイベント向けには「Perfitt Onsite」というサービスがあります。
こちらでは専用マットとスマートフォンまたはタブレットを使って足を計測し、店頭の商品からおすすめサイズを提案します。
これも意外と意味があります。
靴屋に行けば実際に試着できますが、
「まずどのサイズから履けばいいのか」
「自分の足は幅広なのか」
「どのモデルが合いそうなのか」
といった部分は、スタッフの経験に左右されることがあります。
Perfittを使えば、データをもとに試着候補を絞れるため、
何足もサイズ違いを持ってきてもらう
という作業を減らせる可能性があります。
Perfittが狙っているのは「サイズ違い返品」の削減
Perfittがこの仕組みを提供する大きな理由の一つが、ECの返品です。
靴は試着してみないと分かりにくいため、
サイズ違いで返品
↓
別サイズを再発送
↓
検品
↓
再梱包
といった作業が発生します。
これは購入者にとって面倒なだけではありません。
販売店側にも、
送料
物流
検品
梱包材
在庫管理
などのコストがかかります。
Perfittの海外公式サイトでは、導入企業で購入転換率や再購入率の向上、返品率の低下が見られたとしています。これらはPerfitt側が公開している導入実績なので、すべての企業で同じ結果になるとは限りませんが、サービスが「サイズ選び」だけでなくEC運営の改善を狙っていることが分かります。
日本向け発表でも、海外導入事例としてMizuno EMEAやABC-MART Koreaでの実績が紹介されています。
「レビューでサイズ感を確認する」買い方が変わる?
今のネット通販では、靴を買う前にレビューを確認する人も多いでしょう。
よくあるのが、
「普段26.5cmですが、この靴は27cmでちょうどでした」
「少し小さめです」
「幅広の人は0.5cm上がおすすめ」
といったレビューです。
かなり参考になります。
ただし問題もあります。
同じ26.5cmの人でも、足の幅や形は同じではありません。
レビューを書いた人にはちょうどよくても、自分にも合うとは限らないわけです。
Perfittのような技術が広がれば、
他人の感覚
ではなく
自分の足データ
を使って靴を選ぶ方向へ変わる可能性があります。
もちろんレビューが不要になるわけではありません。
履き心地やクッション性、重さ、耐久性などは実際に履いた人の感想が参考になります。
つまり将来的には、
サイズはデータで決め、履き心地はレビューを見る
という役割分担になるのかもしれません。
バーチャル試着とは少し違う
最近はECサイトで、ARを使ったバーチャル試着も増えています。
スマートフォンのカメラで自分の足を映し、その上にスニーカーを重ねて、
「履いたらこんな見た目になります」
と確認できるサービスです。
Perfittはそれとは目的が違います。
バーチャル試着が、
「似合うかどうかを見る技術」
だとすれば、
Perfittは、
「サイズが合うかを判断する技術」
です。
見た目ではなく、足と靴の内部データを使ってフィッティングを補助します。
将来的には、
AIでサイズを確認
↓
ARで見た目を確認
↓
そのまま購入
というネット通販も珍しくなくなるかもしれません。
Perfittにも限界はある
便利そうな技術ですが、
「AIがサイズを選んでくれるなら絶対に失敗しない」
と考えるのは早いでしょう。
靴の履き心地には、
足の形
歩き方
靴下の厚さ
むくみ
好みのフィット感
用途
など、さまざまな要因があります。
たとえばランニングシューズと普段履きでは、求めるフィット感も違います。
AIによるサイズ提案はあくまで「選びやすくするための支援」と考えた方がよさそうです。
また、日本では導入が始まったばかりです。
どのブランド、どのECサイト、どの靴で利用できるようになるのかによって、一般ユーザーにとっての便利さはかなり変わります。
自分の足データを預ける点も確認したい
もう一つ今後気になるのがデータの扱いです。
Perfittのようなサービスでは、足のサイズや形などの計測データを利用します。
海外公式サイトでは、計測データをデータベースに蓄積し、AIアルゴリズムの改善などに利用していることが説明されています。
実際に日本国内のECサイトへ導入された場合には、
どのデータが保存されるのか
どの程度保存されるのか
誰が利用できるのか
など、各サービスのプライバシーポリシーも確認したいところです。
便利さとデータ利用はセットで考える必要があります。
2026年10月には日本で実際に体験できる
Perfittは2026年10月7日から9日まで、東京ビッグサイトで開催される「FaW TOKYO(ファッションワールド東京)秋」に出展する予定です。
会場では「Perfitt Size」と「Perfitt Onsite」の足計測からサイズ提案までを体験できると案内されています。
FaW TOKYO公式サイトでも、同期間にファッションテックEXPOを含む展示会が東京ビッグサイトで開催されることが確認できます。
日本でのサービス展開が始まった直後なので、この展示会をきっかけに国内のブランドやEC事業者への導入が進むか注目です。
靴売り場そのものが変わる可能性もある
Perfittを見ていると、変わるのはネット通販だけではないように思えます。
これまでの靴選びは、
足を入れる
↓
歩いてみる
↓
違えば別サイズを持ってきてもらう
という方法でした。
これからは、
足をスマホで計測
↓
AIが候補サイズを絞る
↓
候補だけ試着
という流れになるかもしれません。
さらに足データを一度登録しておけば、
別ブランド
別モデル
別のECサイト
でも自分に合うサイズを提案できるようになる可能性があります。
毎回、
「このメーカーは大きめ?」
「0.5cm上げた方がいい?」
と検索する必要がなくなるとしたら、靴の買い方はかなり変わります。
AIが「おすすめ商品」だけでなく「自分に合う商品」を選ぶ時代へ
AIを使ったネットショッピングでは、
「あなたへのおすすめ」
という表示自体は以前からありました。
ただ、その多くは購入履歴や閲覧履歴から、
「この商品も好きかもしれません」
と提案するものでした。
Perfittは少し違います。
本人の身体データを使って、
「この商品なら、このサイズが合いやすい」
というところまで踏み込んでいます。
これはECサイトにおけるAIの役割が、
「売れそうな商品をおすすめする」
から、
「その人に実際に合う商品を選ぶ」
方向へ広がっている例ともいえます。
靴だけでなく、
服
メガネ
指輪
ヘルメット
スポーツ用品
など、サイズ選びが必要な商品にも同じ考え方が広がっていく可能性があります。
まとめ:Perfittは「足を測るAI」ではなく「足と靴を照合するAI」
Perfittの一番興味深いところは、スマートフォンで足を測れることだけではありません。
足のデータに加えて、
靴の内寸
素材
硬さ
構造
着用データ
などを組み合わせ、
「その人と、その靴の相性」
を判断しようとしているところです。
2026年9月時点では、日本での企業向け導入受付が始まった段階で、どのECサイトでも使えるサービスではありません。
ただ、もし国内の大手シューズショップやブランドへの導入が進めば、
「靴は試着しないと買えない」
というネット通販の弱点が少しずつ小さくなるかもしれません。
今後は、
商品写真を見る
レビューを読む
サイズ表を見る
だけではなく、
「自分の足データでフィッティングする」
ことが、ネットで靴を買うときの当たり前になる可能性があります。





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